その日の放課後。



「瞳、お願いしますっ!!」



学校帰りにカフェに立ち寄った私たち。



席について飲み物を頼んで落ち着いた私は、テーブルに頭をぶつけてしまうのではないかというくらい頭を下げてお願いする。




「よし、この瞳様に任せなさーい!」



胸をトンと叩いてドヤ顔を浮かべる恋愛スペシャリストの瞳は、とても頼もしい。



「まず、ぶりっ子ってわかる?」



ぶりっ子……



それは聞いたことはあるし、芸能人にもそんなキャラの人がいるから、見たことはある。



とにかく可愛い仕草をするってことだと思うんだけど……



それが具体的に何なのか、それは考えてもなかなか思い浮かばない。



「ぶりっ子は聞いたことあるけど、どんなことしたらいいの?」



「そうねぇ、まずは自分のことを名前で呼んでみなさい」



自分のことを名前で?



「例えば、瞳はね〜みたいな感じよ」



瞳が実際にやって見せてくれて、絃もやってみなさいと言われ、実践してみる。



「い、絃ね?」



「きゃあーっ、あんたやるわね!その慣れない感じ最高よ!」



えっと、褒められてるのかな?



とりあえず、あははっと苦笑いを浮かべる。



いつも一人称は私だから、なんだか違和感しかない。