お次に乗った車は綺麗なオネェ二人にしては大人しい感じの乗りまわしやすい国内メーカーのエコカーである。


「来る時は真っ赤な車だったでしょ?あれ目立つのよねぇ。目立ちたい時は乗るけど普段のお出かけや買い物はこっち使ってるの。エコカーだし燃費も良いしね」


ニコッと言うのはアカリさん。


「仕事も荷物多い時はコレか、社用車のバンに乗るわ。」


そう教えてくれたのはサチコさん。


運転席にアカリさん、助手席にサチコさん、後部座席に私が乗ってエコカーは出発した。


「どこで服を調達しようかしら……。ショッピングモールにする?それともアウトレット?」

「それなら海沿いの所が良いわ!」

「じゃあ、そこにしましょ!」


決まるや否やで車は高速のインターを通過しグングン加速していった。

海沿いまでドライブのような感じで適当なラジオ番組を聞きながら、それに突っ込むアカリさんやサチコさんに笑わされつつ都会の景色を眺めながら到着。

ついた先は有名なテレビ局もある湾岸地域。

なんかのアニメの有名なロボットの像を横目にショッピングモールへ。


車から降りて歩き出すと、まぁ…、アレです…。
あの二人は目立つわけです。
何しろ大きなオネェさんなので…。


声さえ出さなきゃモデル張りに大きくてスラッとしてる美形。
それが二人並んでるんだから圧巻である。
後ろからついて行こうとしていた私に気づいた二人は、


「ちょっと、夏美!何後ろから付いてきてるの。あんたの定位置はココよ!」


そう言うなり腕を掴まれアカリさんとサチコさんに挟まれた。


「やっぱり良いわねぇ。娘とお買い物夢だったのよ!」

弾むように笑顔で言うサチコさんは、大人なのに、なんだか可愛い。


「サチコさん、ちょっと早いよ!」

「うーん、しっくりこないわ!!」

「え?なにがです?」


何がしっくりこないのだろう?
ハテナを浮かべる私に、サチコさんは言った。


「夏美のあたしの呼び方よ!」


なんか、いつの間にか私は呼び捨てで呼ばれていたけど違和感は無い。
ちょっとくすぐったいけど、なんだか嬉しい…。
ホワッと温かい気持ちになっていた。