今日は雑誌の撮影や番組の収録、もちろんドラマの収録も終えて、家に帰った。

 親父も帰ったばかりの雰囲気で、リビングのソファに座ってた。
 酒が入ってるみたいだ。

 すり込みされた鳥の雛のように、親父にまとわりついてる人が今夜はなぜかいない。

「葉山さんは?」
「あぁ、送別会に行ってるよ」

 どうりで家の中が静かな訳だ。

 一体何時に帰って来るんだ?
 まさか徒歩で近道して、公園抜けて帰ったりしないよな…

 いや、あの人大概ヌケてるし、危機感薄っぺらいからやりかねない。

 だから、
「駅に着いたら、迎えに行くよ」そんな提案をしてみた。

「タクシーに乗るように朝に言ってあるから、大丈夫だろう」

 親父も俺と同じく、特に夜のこの家の立地には不安を感じてるんだ。

「コンビニ行くついでだから」

 渋い表情を返されて俺が迎えに行くことは、正直歓迎されてないことが分かる。
 飲んでなければ、親父が迎えに行ったんだろう。

「くれぐれも、面倒は起こすなよ」

 目立つことはするなってことだ。
 釘を刺された。