――私の知らない間に、外堀を埋められていた。



それが、王太子様……、もといファリス様の話を聞いての感想だった。

ファリス様に連れて来られた部屋、ここは私の部屋になるのだという。
隣はファリス様の部屋になっていて、部屋の中にある扉で繋がっている部屋なのだとか。

この部屋は前もって用意していたらしい。

そして今回の集まりで私を見つけ出し、この部屋へ連れて帰ると決めていたと、


そして私の名前を知っていた件。
これについては事前に調べていたのだそう。

あの日、ファリス様が目を覚ましたとき、すでに私の姿がなかったことで、ファリス様は私の名も聞かず、いなくなってしまったことを悔やんだそうだが、行動しなければなにも始まらないと、城にいる侍従たちに聞き回ったところ、簡単に私だと分かったのだという。

……というのも、私が社交場に参加していても、ろくに踊りもせず料理ばかりを楽しんでいたものだから、侍従たちの間では密かに噂になっていたそうだ。

食べるだけの令嬢、と。

確かに他の令嬢とは違う行動をしていたから、目立っていたのは間違いない。

身なりはそれほど派手にはしていなかったが、それ以上の変わった行動を毎回していたのだから、よく考えれば仕方ないことだと思った。