「俺、華のことが好きだ。付き合ってほしい」




高二の夏ーーー。

私、三倉 華に初めての彼氏が出来たーーー。




「もー、相川くんったら!」


「悪ぃ、先に食べちゃった!」



学校の近くの喫茶店。

私の自慢の彼氏、相川くんが私の頼んだケーキを一口食べた。



「華がよそ見してっから!」


「よそ見なんかしてませーん」


「してますー。…ったく」


「ん?」


「…俺だけを見ろよ」



窓の外を眺めてばっかりいる私に相川くんはボソッと呟いた。



「………みる」



こんな何の取り柄もない私に相川くんは告白してくれた。



一途で、率直で、正直な相川くんが大好きだ。



「おーい、なにボーっとしてんだよ!」


「あ!ねぇ!二口目は許さん!」



私は相川くんの頼んだケーキを仕返し替わりに食べてやった。



「ちょ、おい!お前もやってんじゃん!」



こういうやり取りも本当に幸せだ。