どういう事だ、こりゃあ…。

洗面台の縁に両手をついて、頭痛がしてきた頭を落ち着かせる。

元来、物を考えるのは苦手だ。

何せあの丹下 龍太郎の生まれ変わりと言われる男だ。

スペシャルバカには違いない。

が、これは少ない脳味噌をフル回転させるしかないだろう。

問題なのは、高校生やり直しをさせられているという認識が、龍一郎以外にはないという事だ。

父も母も祖父も祖母も、妹の蒲公英にもない。

(こりゃあ何だ…アニメとか漫画である、タイムストリップって奴か)

タイムスリップな。

だが、そう考えるのが一番辻褄が合う。

龍一郎は20年前の天神地区に、タイムスリップしたと考えるのが妥当か。

しかもそれを認識できているのは自分だけ…。