目が覚めた瞬間から、涙が出た。

「あ、龍一郎気が付いた…」

「大丈夫なの?龍一郎…」

「体はどうなんだ?龍一郎」

ルナが、すずが、蛮が、控室のベッドに横たわった龍一郎の顔を覗き込む。

龍一郎は、人目を憚らず泣いた。

両腕を交差させて顔を隠し、声を殺して泣く。

「兄ちゃんやだよ…泣かないでよ…」

気が強く、ガサツとさえ思っていた兄の泣く姿に、蒲公英は声を詰まらせる。

敗退した事が悔しいのだろうか。

…違う、そんな事ではない。

龍一郎は、絶対に負ける訳にはいかなかったのだ。

決して負けてはならない戦いだった。

にもかかわらず、あと一歩の所が踏ん張れなかった。

全ては偏に、己の弱さ故。

弱さ故…。