「龍一郎!」

龍一郎に駆け寄ろうとするすず。

「来るなぁっ!」

自らの傷を顧みず、龍一郎が叫ぶが。

「愛しいかね?彼女が」

バルトメロイは、まさしく獣の動きですずに接近し。

「あうっ!」

杖で彼女を殴り倒す!

滑らかで美しい赤い髪が振り乱され、地面に倒れ伏す。

「どんなに容姿が良くとも、この女は悪魔だよ?人類の敵だ。汚らわしい邪悪の使いだ」

「るっせえ!テメェの方がよっぽど汚らわしい邪悪のつか…」

「いけない口だ」

瞬時にバルトメロイは龍一郎に接近、片手でその顎を摑む。

片手で彼を持ち上げて。

「私に吐いた暴言を謝罪するか、この悪い口を顎ごと砕くか、選びたまえ」

選択を迫るバルトメロイ。

躊躇なく龍一郎は、彼の顔に唾を吐きかけた。

「うむ、結構」

人間では有り得ない握力が、龍一郎の顎を軋ませる。