とは言うものの。 美優ひとりで何か妙案が浮かぶ訳でもなく、といって返さないのも寝覚めが悪い。 そうこうするうちに授業がはねて、潮見橋を渡ろうと美優が信号待ちをしていたときであった。 「美優ちゃん、今から帰るのかい?」 声をかけてきたのは、出前の岡持を回収した帰りの、顔見知りの寿司屋の大将である。