目が覚めると、陛下より昨夜の褒賞に高価な衣装や髪飾りなどが部屋に届けられていた。


少し興奮気味の威仔に着る様に言われたけれど、断り動きやすいものを着た。


威仔は納得いかなそうな顔をしていたけれど、昨夜の姜賢妃を思い出すととても着れなかった。


陛下から頂いた物。


嬉しくないハズはない。


けれど、仮面を着けている限り、せっかく頂いた衣装を台無しにしてしまう。


姜賢妃の様に似合うはずもないし、私は軍妃だ。


私には着飾る必要がない。


それに、これから舞妃ノ宮に行って武術や五行の修行をしようと思っている。


それ故、ヒラヒラした衣装を着る事は出来ない。



今だ納得のいかない顔の威仔に見送りながら部屋を出る。



後宮内の軍妃や他の妃嬪の部屋を通り舞妃ノ宮に行かなければならない。


昨夜の褒賞を賜った事がすでに広まっているのか、廊下で出会う妃嬪達にコソコソと何か言いこちらを見る。


軍妃ではない妃嬪は私仮面に顔を歪ませている。



「どちらに行かれるのですか?琴軍妃将軍。」


急に後ろから声をかけられる。


振り向くと、姜賢妃が数人の女官を連れて立っていた。


『姜賢妃様…。今から舞妃ノ宮に参ろうかと。』


そう言い、一礼する。


今日も美しい衣装…。


やはり、私などが豪華な衣装を着なくて良かった。