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范丞相に会いに行くと、そこには思いがけない人がおられた。


『陛下…』



范丞相と2人で話すだけだと思っていた故驚いた。


慌てて頭を下げると、笑顔で「面をあげよ。」と言った。


范丞相に促され、陛下の前の椅子に腰をおろすと、陛下が口火をきった。



「そなたにする話は私の身の回りの事だ。
私からもそなたに話しておきたい。」


范丞相との話は、軍妃としての後宮の守護についてだった。

この後宮内で一番強いとされる、私に協力して欲しい事だと聞いている。


陛下自らおいでになられるとは思わなかった。


少し緊張して座る私を范丞相は一瞬視線をやると、咳払いをした。



「さっそく話をいたしましょう。陛下に代わり、私がお話致します。
琴軍妃将軍、あなたに頼みたい事とは、後宮内で起こる、稚皇太后(チコウタイゴウ)と呂貴妃(リョキヒ)の争いについてです。」


稚皇太后?


え…稚皇太后とは、陛下のご生母ではないか。


稚皇太后様が、争いを?


陛下の顔を見ると、真剣な顔で頷いた。



なぜ…稚皇太后様が…


とても優しい方だと聞くのに。