翌日、昨夜の宴とは反対に、舞妃ノ宮は静寂に包まれていた。



後数刻で、各室に宦官がやってきて官職の発表をする。



待っている間、皆は黄麟ノ宮に移る為に荷造りをしていた。



私の荷物といえば、小さな包みと長い包みの2つのみ。


没落貴族出身の棕尹は、同室の中でも1番荷物が多かった。


両親が財をはたいて持たせてくれたと、前に聞いた事がある。



昔は栄えていた棕家を取り戻す為に、軍妃になった尹。


李燗と同じく、天子様の寵を頂きたいと願っている。

早く荷造りが終わった私は、尹の手伝いをする事にした。



「冥紗は荷物それだけ?」


荷物を包みにいれつつ、尹が言った。


私が頷くと、一旦手を止めて言った。



「前から気になっていたのだけれど、その長い包みはなんですの?」


私の横に置かれた、長い包みを指さして言った。


尹の言葉に、李燗や悒雉達も手を止めて私を見た。


どうやら皆気になっていたらしい。



私は長い包みを手に取り、包みの紐をほどいて中身を取り出した。



皆はそれに目を見開き驚く。