山仲高校の一位を確信していた。
誰もがそう、信じてやまなかった。
あんなに苦労した分、今回思い切り走れている。
彼女があんなに楽しそうに走る姿を、俺は何年ぶりって見ただろうか。
いつもなにかに追われ、苦しんでいる姿が、最近はそこにあった。
けれど今日は、いつもと全く違う。
何もかもを楽しんでいるうにしか見えなかった。
さっき、ゴール地点の近くの道路を通った時に夕夏に声をかけた。
まだ、余力は残っているようでちゃんと生き生きとした夕夏らしい走りがあった。
途中で折り返して、あと残り500mと少しだろうか。
もうすぐで、彼女が帰ってくる。
そしたら、俺たちが頑張る番だ。
俺のアップ開始が先か、夕夏がゴールするのが先か。
俺は夕夏があの白いゴールテープを切る瞬間を見ていたくて、ゴール付近をソワソワしながらジョギングしていた。