––––––トントントントン…




最近、よく思うことがある。



もしも。



もしも、俺らを隔てていたあの3年間がなかったら、



今の俺らは一体どうなっていたんだろうか–––––。







「……先生。さっきから見すぎです」



キッチンの換気扇の下で、タバコをふかしながら何やかや動く翠を目で追っていた。


それに気が付いた彼女は、包丁を持つ手を止め、鋭い視線を向けてくる。


「大体、その場所にいられると邪魔なんですよ。コンロを使う時、狭いんですからね」


なんてボヤく彼女が、照れ隠しなことくらい知ってる。


灰が落ちそうになるタバコを灰皿に押し当てて、換気扇に向けて最後の煙を吐き出した。


それからまた包丁を持つ手を動かし始めた彼女の背後へと歩み寄る。



「眺めるくらいいいだろ。俺のなんだから」


「ちょっ…!先生!包丁危ないですっ!」


後ろから彼女の腰に手を回せば、みるみる彼女の耳が赤く染まっていく。


本当にこいつは分かってない。


いつまでたっても、そうやって新鮮な反応をするから、こうやって俺にちょっかい出されるんだろうが。


「先生…っ!!」