非常事態宣言に近い状態になりつつある。

状態だけ見ればであるが。



故に、玉座にあり各方面から届く報告を受けながら、シルベスター王国の国王ジェラルド2世は内心こうも思っていた。


『魔法で強い国と有名だがうちの騎士団そんじょそこらじゃ負けないし、なにを思って侵攻してきてるんだドミレスタ帝国は。喧嘩売っちゃならんところに喧嘩売るのはやめて欲しいもんだ』


王立騎士団に居る自分の妹はそれこそ鬼神の異名を持つ女騎士団長だし。
副団長の妹の旦那はその鬼神に並ぶ腕前を持ち妹が唯一認める男である。


魔法師団は双子の弟達が無尽蔵の魔力でもって教え導き歴代きっての魔法師団と呼び声高く。
そこに所属する末っ子姫は歴代きっての白魔法の使い手だ。


白魔法ばかりに気を取られてはならない。
妹も双子の弟同様に無尽蔵の魔力を持ち、そして特化は白魔法と各方面には伝えているが世にも稀に見る、実は全属性持ちのマルチな魔法師である。
本来なら彼女が魔法師団の長に相応しいがあまりにも魔力も扱う魔法も強大過ぎるため、庇護目的に第二部隊の治癒専門部隊の隊長に据えているだけである。


こんな兄弟に囲まれた故に、一番最初に生まれただけとも言える国王陛下は自分はものすごく凡人であると理解している。


だからこそ思う。

『ドミレスタ、お前は絶対喧嘩売る相手を間違えてる!!』



内心負ける要素は微塵もなく、ただただ兄弟達の暴れっぷりにしか不安を感じていない。

その後の処置、それを考えるだけで軽い胃痛がする。



そんな状況の国王陛下、ジェラルド2世はまだまだ続く報告を聞き続けていた。