そこに、上空から風が吹きつけてきて、ドラゴン特有のバサっとした翼の音がする。


上を見れば偵察と伝達に出ていた新人で部下のルカがコンビ竜のエラルダに乗って帰還した様だ。


「団長。ただ今戻りました」

竜から降りてピシッと直立姿勢で告げてくるルカはまだまだ可愛いという印象の方が強い。
しかし、これでいて体術が得意である。
そしてコンビ竜エラルダとの連携は抜群で何と昨年の春入った新人において飛行スピードはトップでこの騎士団内でも三本の指に入る速さで飛行が可能である。

それ故に新人基礎訓練が終わってすぐガルドウィンは自分の伝令に任命した。

将来有望な新人である。


「ご苦労だったな。では場所を移して話を聞こう」


そうして先に立って団長執務室に向かうべく歩き出した。


その後をルカがしっかりついてくる。
小脇に預かった書状や書類を抱ながら。


竜騎士団の本拠地は、ラグーン帝国の首都のやや外れた位置に広大な敷地面積を誇る。

しかしその面積の大半は竜の為の住処と遊び場と訓練場で。
本部事務方の建物と竜騎士団宿舎は質実剛健、使い勝手と堅牢さが売りの建物である。


そんな中の3階奥が団長執務室だ。
執務室横には仮眠室もあり、クローゼットと簡単なベッドが置かれている。
数着の軍服の替えと普段着、礼典用軍服一式を入れている。

意外とこじんまりとしているのが、この執務室である。