「黎――もしかしてその子が?」
 

女性は、今度は真紅をじっと見て来た。


だ、誰だろう……? 知らない人だ。けれど、どこかで見たような気がする。


「……なんでこんなところにいるんですか」
 

黎が苦い顔で答えると、女性はくわっと目を見開いた。


「なんで連れて来ないのっ。二人がどれほど心配してたと思うのっ?」
 

いきなり怒られた。
 

真紅が面喰っていると間に、女性は真紅の前に立った。
 

厳しい顔で。


「あなた、名前は?」


「ま、真紅、です」


「まこちゃん? 今すぐ来てもらうわっ」
 

え? 真紅が口を開く前に、女性はその腕を摑んで走り出した。