「真紅ちゃん。今度の日曜日は空けておいてね」
 

斎陵学園からの帰り道に海雨のところへ寄って来た真紅は、帰るなり母にそう言われて面喰った。


「え、でも日曜日はいつも紅緒様が……」
 

部活などはしていない真紅は丸一日休みなので、紅緒に教えてもらっているのだ。


代わりに、土曜日は必ず海雨のところへ行けるようにしてもらっている。


「紅緒には言ってあるわ。一緒に住むようになってから、三人でお出かけとかしたことないでしょう? 三人でお出かけしましょうって言ったら、紅緒すぐに肯いてくれたわ」


「………」
 

だろうね。紅緒様のママ大すきはシスコンだからね。
 

真紅、口には出さなかったが心の中で大きく肯いていた。


「紅緒とは初めてのお出かけだから、ちょっとおしゃれして行きましょうね」
 

母は、やっぱり柔らかい笑みでにっこりと言った。