真紅は知っている。
 

何故『始祖の転生』と呼ばれる魂があるか。
 

始祖の転生とは、そもそもなんであるか。
 

なんのために、生まれ変わり続けるのか――。
 

力を取り戻し過去世の記憶が芽生えた真紅は、総てを知った。



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目覚めた真紅は、のろのろとした動作で身体を起こしてから、枕元の二つのカゴを見た。
 

一つは式となった紅姫のもの。


もう一つは、変わらず真紅の傍にいてくれる涙雨のもの。
 

二基の仲は良好で、涙雨が真紅の右肩、紅姫が左肩によくいる。


両方とも重さを感じないから問題ないが、触覚は有効なのか、しょうじきくすぐったい。
 

ぐっすり寝ている二基を見て、真紅は顔をほころばせた。可愛い……。
 

紅姫が来た日に見た夢は、あの一度きりだ。