「今日はごめんな? せっかく紅亜様が作ってくれた時間なのに……」
 

手が重なった影の夕焼け。


黎は申し訳なさそうに言って来た。真紅は隣を見上げる。


「全然。黎のご家族にお逢いできて嬉しかったよ」
 

いきなりなこととはいえ、彼氏の家族に交際を認めてもらえたのだ。嬉しくないはずがない。


「架くんのことも……安心していいよね?」
 

うん、と黎は肯いた。


「大丈夫だ。誠さんも弥生さんも、総て承知で架を後継に据えたんだ。これからの桜城を率いるは架で問題ない」
 

返事の代わりに、真紅は繋いだ手に力をこめた。