「吉岡、今回のテストどうだったの?」


私が作ったばかりのアップルパイを頬張りながら、癖っ毛で色素の薄い髪の彼がそう聞いてきた。


思い出したくなくて、今日は2品も作ったっていうのに。


相変わらず、若干空気が読めないのね。



「惨敗。私、勉強も運動も本当にダメなんだ〜」


はぁーっとため息混じりでそう答える。



「へぇー意外。吉岡、勉強得意そうなのに。運動は…まぁわからなくもないけど」


「うぅ、」


きっと悪気はない。
ただただ正直者ってだけだけど、そこは彼のいいところでもあるし、悪いところでもある。


アップルパイを頬張ってる彼の名前は、星川 海(ほしかわ かい)くん。
学年もクラスも違う彼とは、2年生に上がったばかりに初めてここ、家庭科室で出会った。