ガチャ…


ドアが開いた音がして、バッと振り返ると、冷さんが立ってた。


「……早いね」


慌てて涙を拭って笑顔を作る。


「鍵取りに来ただけ」


どっからどう見ても私は泣いてるように見えたはずなのに、何も聞かずに平然とリビングに入ってくる冷さん。


「そう……」


電話の声…聞かれてないよね……?


「……大丈夫か?」


「え……?」


「何かあったら言えよ。ちゃんと聞くから」


冷さん、心配してくれてるの……?


そのことに、少し嬉しくなる自分がいる。


「ありがとう……。でも全然大丈夫だから…」


絶対相談できないけど。