「……もう、人生楽しんだから」


リビングに鍵を忘れて取りに戻ろうとしたら、リビングから愛の声が聞こえてきた。


人生楽しんだから……?


自殺でもすんのか?


愛が何かを抱えてることは一目瞭然だったけど、俺だって聞かれたくないものだってある。


だから深く聞こうとは思ってなかった。


けど、命に関わることなら別だ。


「嫌だ…。お母さんの顔見るのがつらいの」


……盗み聞きすんのは悪いから、結局立ち去ろうとしたけど、リビングから泣き出す声が聞こえて、気が変わった。


ガチャ…


ドアを開けて俺は愛のいるリビングへと入った。