「愛!!」


6月に入り、ジメジメ、蒸し蒸しする教室に足を踏み入れたとたん、蒼汰が大声で私の名前を呼んだ。


退院後初めての教室。


雰囲気はすっかり6月末から七月頭に行われる期末テストへ向けて、勉強勉強となってる中、皆が動きを止めてこっちを見る。


「……おはよ…」


とりあえず挨拶して自分の席へ荷物を置く。


まだ席替えしてないみたいで、隣は相変わらず蒼汰。


「愛……。マジで心配したんだぜ!?〝お見舞い来ないで〟とか言うから!」


入院していた1週間。


私は人と会うことを拒否していた。


唯一会っていたのは近藤先生かな。


お母さんとも会うことを拒否してた。