普通の出会いをして、普通の結婚をしたいと思っていたのに、現実はかなり厳しい。


運命の出会いをしたつもりが、運命とも言えず、かといって、逆らう気持ちにも慣れず。


これが現実で、未来が全く見えないと言う落ちだなんて。


普通ならそんな相手を選ぶだろうか。


智哉は会社を解雇され、会社のお金を横領したと言う犯罪者なのだ。


犯罪者の花嫁。


小説じゃないし。


まぁ、平凡な人生よりも楽しめるのも確かで。


智哉と夕食を食べていると、玄関のドアをノックする人。


まさか、もう、見つかってしまったのだろうか。


智哉が砂川だから、大丈夫だとドアを開けた。


もしかして、砂川さんを装った、敵かも知れないのに。


別荘に入ってきてのは本物の砂川さんだった。


智哉の女性問題のでっち上げの証拠と音声も分析されて、やはり全てが小澤親子の仕業だったのだ。


驚く事はまだたくさんあり、小澤直木と咲希は恋人同士ではなくて、兄妹。


なるほど、咲希は両親が離婚したとき、母親についていき、名字も変わっていたから、まさか直人と兄妹だとは思わなかった。


咲希は幼馴染みで小学校も一緒に通った仲、この町に戻ってきた時も何度か会っていたけど、まさか、咲希が小澤親子と一緒になり、九条corporationを乗っ取ろうとしてるだなんて、思いたくない。