私はよい提案だと思い智哉に話すと、最初はバカにしてたのに、うん、それは良いかもとその気になってくれたようで。


砂川さんに電話をして、何かを確かめていた。


あのでっち上げのスキャダルを、本当は誰が仕組んだものなのか。


それを先ずは突き止めて、あの女の正体も暴きたい。


なんか、ワクワクしてきた。


夕方智哉とは出かける時にでも話して見ようと思う。


私のピンクの軽に乗り、繁華街を避けて少し遠出をすることに。


智哉は深く帽子を被り、サングラスとマスク。


もう、外は暗いんだから、変装は必要ないと思う。


用心にこしたことはないらしいが。


怪しい人にしか見えません。


海の近くまで行き、遅めの夕食を食べた。


あれ、この場所いつか来たような気もするけど。


子供の頃に夏はいつも家族で海に来てたと思う。


その頃に、父さんの会社が倒産して、住んでいた家を出たことは思えている。


住み慣れた場所を離れるのは本当に辛かった。


でも、家族で違う場所で新しい生活が待っていたから、我儘なんて言えるはずもなく。


小学生だった私は必死に泣くのを我慢した。


「泣きたいなら、泣いてもいいぞ。」


え。


「泣きたいのを必死に我慢してる、麻都佳も可愛いけどね。」


なにそれ、趣味悪。


「別に泣いたりしません。」


「でも、このレストラン以前に来たような気がするの。」


「誰と来たのか覚えてる。」


誰と?


多分家族だと思う。


智哉が私を見つめていた。


うん、何?


ハッキリと思い出せない。


すごく楽しかったし、又来ようねって、約束をした。


指切りをした覚えがあるけど、両親ではなかったような?

はっきりしない。


あれ、20才ぐらいの青年。


あれは誰だったのだろう。