アリシアのただ事ではなさそうな様子を見て、レミリアが眉をひそめる。



「だ、大丈夫です。少し疲れているのかもしれません」



 アリシアは無理やり引きつった笑みを浮かべてティーカップを置いた。



「すみません、イルヴィス様にお出しするハーブティーを用意したいので失礼します」


「ちょっと、アリシアちゃん?疲れているならもう少し休んでからでも……」



 母の制止を振り切り、アリシアはテラスを後にした。



(殿下との約束だから王宮には毎日行かないといけない。だけど、それだとヒロインとの接触が避けられなくなるんじゃ……)



 アリシアは嫌な予感を振り払うように頭を振った。