■相馬side□



沙耶が自分を頼ってくれないことが、俺は何よりも、悲しかった。


「……」


目の前で、眠る沙耶。


出逢ったときから、何度も見ている姿。


忘れられない、一年半前のこと。


沙耶の口許に手をあてがえば、息をしているのに。


どうして、こんなにも怖くなるんだろう。


彼女を失うかも、と、思ってしまうのだろう。


自分に自信がないのは、俺もなのに。


沙耶を、責めることなどできないはずなのに。


沙耶が言った言葉が許せなくて、その体に、心に思い知らせてやりたくて。


「……待ってろ」


全てを、片付けよう。


沙耶を傷つけたやつも、


そう、仕向けたやつも、


沙耶の心にも。


世間にも、何もかもに。


伝えてやろう。


俺が愛するのは、沙耶だけと。