美陽はカメラで撮った写真を現像し、アルバムに貼っていた。

「沢山撮ったね、写真」

後ろから束李が顔を出す。

「うん、いっぱい撮った。後でお母さんに見せようかな…」
「えっ!?美陽ママ帰ってくるの?」

束李が急に大きな声を出す。
美陽は驚きながらも頷いた。

「そっかぁ、電話来てたの?」
「うん…旅行の前日に」

束李は美陽に良かったねと笑って言った。
しかし、美陽の反応はいまいちだった。

「どうかしたの?」
「いや…どんな顔して会えばいいのか分からなくて…」

美陽はため息をつき俯く。
そんな美陽を見て束李は美陽の隣に座った。

「そんなの、考えなくてもその場の雰囲気とかノリでいいと思うよ?ずっと甘えられなかったのなら抱き着いて甘えればいいし…」

大丈夫と束李は美陽の肩を叩いた。

「う、うん。そうだよね…」

美陽の心はモヤモヤしていた。
美陽の母親はいつも自分勝手に動く。
美陽はいつも我慢していた。
今回も何かあるんじゃないかと美陽は疑っていた。