テスト当日。
美陽は束李の心配、束李は赤点を取らないか心配していた。

「始めっ!」

監視の先生が合図をかける。
美陽と束李は1問ずつ落ち着いて解いていった。
1日目のテストが終わった。

「お疲れ、美陽」
「お疲れ様、束李」

2人は互いに労いの言葉をかける。
鞄を持って教室を出ると、廊下で悠琉と龍月が2人を待っていた。

「帰ろうぜ」

龍月と束李が先に歩き始めた。
美陽と悠琉は照れくさそうに並び、2人を追うようにして歩き始める。

「皆、テストどうだった?」

龍月が歩きながら3人に話しかけた。
悠琉が答える。

「俺は、いつも通りだった。お前は?」

悠琉は龍月に質問を返す。
龍月の反応は微妙だった。

「い、いつもっ通り…だったよう?」

声が裏返っているのは気のせいだろうか。
後ろで美陽と束李は笑っていた。

「お前らはどうだったんだよぅ」

龍月が後ろを歩く美陽と束李に振り返って聞いた。

「私達は大丈夫でした。ね、美陽」
「うん、そうだね」

美陽は途中で屍のようになっていた束李の姿を一瞬忘れたふりをした。
何故か龍月は2人の反応に納得がいってないようだった。

分かれ道で悠琉と龍月、美陽と束李に分かれた。

「それでは、先輩方また明日っ!」
「おう!また明日な」

束李と龍月が言葉を交わす。
悠琉は手を振り、美陽は小さく会釈した。

「じゃあ、美陽。またね」
「うん、またね」

美陽は束李に手を振って帰路を進む。
すると、ブレザーのポケットの中で携帯が光った。
美陽は携帯を手に取り、電源を付ける。
メールの相手は先程別れた悠琉からだった。

『次沢さんへ

 今日は突然ごめんね。
 それで、明日なんだけど…

 2人で帰らない?   悠琉』

美陽はドキリとした。
家まで急いで、自分の部屋に駆け込んだ。
携帯を両手で握る。
返信を打ち、素早く机に伏せた。

「…何でこんなにも心臓が煩いんだろう」

美陽は束李から電話がかかってくるまで落ち着くことができなかった。