ケータイ小説 野いちご

フェイク アフェア ~UMAの姫と御曹司~

UMAの姫は御曹司の騎士と出会う
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嫌な予感はしていた。
出勤すると、昨夜の男性がうちの病棟の特別室に入院していたのだ。
どうやら昨夜はうちの病院が二次救急当番だったらしい。
担当看護師が自分でないことに心から安堵した。

昨夜入院した男性は『阿部真人さん』30才。
IT関連会社の社長さん。

昨夜のは一過性のものだったらしく、今は麻痺もなく意識もクリアになっているという。
今日から様子を見ながら精密検査だ。

ひどい病状でなくてよかった。

でも、そのお陰で入院から3日もすると特別室には派手な女性や立派なスーツを来た男性などが出入りするようになり、同じエレベーターに乗り合わせたり廊下ですれ違うと苦手な香りに思わず顔をしかめてしまう。

本当に香りにやられてしまい、ぐったりだ。

病院に香水をつけてくるな!と叫びたくなる。



「如月先生。阿部さんの退院まだですか?」

思わず、担当医の如月先生を見つけてナースステーションでこっそり声をかけてしまった。

「え?桐山さんも阿部さん狙い?」
面白そうな話を聞いたとばかりに興味深げな顔をして私をじっと見つめてくる。

「そんなわけないですから」
バッサリと即答した。

「そうだよね。桐山さんは誰の誘いにも乗らない。カタいのか恋人に一途なのか、それとももっとハイスペック狙いなのか」
珍しくニヤッと笑い「ね、どれ?」と聞いてくる。


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