ケータイ小説 野いちご

フェイク アフェア ~UMAの姫と御曹司~

2御曹司の騎士はUMAの姫と偽装婚約する
2-2

修一郎さんはかなり優しい。
偽物とはいえ、しばらくは婚約者として過ごすのだから2人の距離を近づけようと言われた。



同居初日、愛理さんと美容院から戻った私をショッピングに連れ出した後は、ホテルの最上階のレストランの個室ディナーに連れて行ってくれた。
まだ、不特定多数の前に出るのは抵抗があるだろうと配慮してくれたのだ。

素敵な夜景と美味しい料理に目も心も身体も癒された。
修一郎さんはずっと笑顔で「夜景よりノエルの方が綺麗だ」と言って私を気持ち良くさせてくれていたし。

翌日はIHARAのホテル内にある世界的に有名なジュエリーショップに連れ出されて婚約指輪を決めた。

「とりあえず婚約発表に間に合わせないといけないから、この中で選んで。指輪がないと婚約者らしくないからね」

値札のない指輪にどうしたらいいのか悩んでいると
「心配しないで。金額なんて気にしなくていい。婚約発表に間に合わせるための一時的なものだし」
と修一郎さんが言った。

そうか、偽装の婚約者だから、これは借り物。発表の時に一時的に私の指にはめて登場してお披露目したら、後でお返しするのか。

「好きなデザインを選んで」
「はい」

借り物にキズをつけてはいけない。ダイヤが飛び出しているようなデザインは不安だから、なるべく凹凸の少ないなだらかなものを選んだ。

指輪が決まると修一郎さんは私の左手の薬指にそっとキスをした。
ひゃあっと声が出そうになったけど、女性スタッフさんの前だからかろうじてこらえた。

「ここに指輪があれば少しだけ安心だ。ノエルは俺のものだから」
と爽やかに甘い言葉を吐いた。

私だけじゃなくて周りにいた女性スタッフたちも顔を赤くしている。

「まぁ、こんなに愛されていてお嬢さまはお幸せですね」
とベテランスタッフらしき女性に笑顔で言われて、私は微妙な気持ちになる。

いいえ、これはストーカーをおびき出すための偽装なので。愛されているわけじゃないですよ。

私が曖昧な笑顔で返していると、修一郎さんが私の腰にすっと手を回して抱き寄せた。

< 39/ 142 >