球技大会本番。

私は憂鬱な気持ちで学校に来ていた。


……冬室くんに会いたくない。

その思いでいっぱいだった。


しかも大嫌いな球技大会。

バスケなんて上手く出来る気がしない。

あれほど練習に付き合ってもらったから、嫌でも冬室くんを思い出すし。


いっそ休んでしまいたかったが、睡眠をしっかりとったせいか、皮肉にも体調だけは良かった。

本当に、踏んだり蹴ったりだ。



***

女子バスケの1回戦は、うちクラスの種目では一番開始が遅い10時半から。

それまでは、他の競技の応援をすることになる。

みんなそれぞれ友達や恋人の応援に向かっていた。

だが、私は応援する相手もいずに、校内をふらふらしている。


もちろん、冬室くんのことが浮かばなかったわけではない。

でも何よりも気まずさが先行して、とても会いに行ける気がしなかった。