球技大会まであと1週間と迫ってきた。

女子バスケはあまり人が集まらず、練習がなかなかできない。

一方で、冬室くんとの練習は、ほぼ毎日になっていた。

私は相変わらずの運動音痴だっだが、冬室くんは決してあきれたり怒ったりすることなく、優しく教えてくれていた。


「……そう。そうやって、肘と腕を使って……」

「……う、うん」


冬室くんのアドバイス通り、シュートを打つ。

ボールはきれいな放物線を描き……ゴールへ吸い込まれていった。


「……わ、わあ!入った、入ったよ!」

「うん。やったね、笠原さん!」


一週間練習して、ようやくの初ゴール。

喜びでその場で跳ねる私と、冬室くんは手を取り合ってはしゃいだ。


「………っあ」
「………ご、ごめんっ」


そしてふと我に返り、繋いだ手に恥ずかしくなったり。

……それでも冬室くんとこうしているのが全く嫌ではない。

むしろこの一週間で、私は彼とより親しくなった気がする。

もう、冬室くんと話すとき、必要以上に緊張することはない。

彼と話すのが楽しいとすら思える。


代わりに、少し……ほんの少しドキドキと速まる胸の音。

それが何なのか、私はきっと気づいている。

でも認めるのが怖かった。