「……では、再来週の球技大会について話し合いをしたいと思いまーす」


……ああ。憂鬱だ。
私はひそかにため息をつく。


水曜のロングホームルーム。

実行委員が教壇に立ち、球技大会の割り振りについての話し合いをはじめていた。

球技大会は全学年参加で、なおかつクラス対抗。

サッカー、バスケ、ソフトボール、バレーボール。

その中から最低1種目は出場しないといけない。
(運動部なんかは2種目出る人もいる)


私は勉強も大して出来ないが、運動はそれに輪をかけて下手くそだ。

とくに、チームワークが必要な団体競技は苦痛以外のなにものでもない。

自分のミスでチームが失点する悪夢…。

あの気まずい空気を思うだけで背中を嫌な汗がつたう。


(……あー、いやだ。本気でいやだ。
球技大会の日に風邪を引きたい。ていうか、もう今から風邪引きたい)

せめて卓球とかみたいな個人競技があれば良かったのに。


どちらかといえばノリがいいうちのクラス。

みんなワイワイ言いながら、優勝目指そうなんて張り切っている。

運動神経もコミュ力もない私は、胃が痛くなってきた。


(…あー。でも考えなきゃ。どれが一番チームに迷惑かけないんだろう)


常にボールとともに走りっぱなしのイメージがあるサッカーとバスケは無理だ。

ならば、バレーかソフトボール……。


(……よし!ソフトボールだ)