「紅音!寒いのに何してんだよ!」

「洗濯だ」

「見りゃわかる」

「だったら聞くな」

「洗濯は、自分たちでさせてるんだ」

「知ってる だから私も自分の物を
自分で洗ってる」

「水冷てぇだろ?お湯を足せ!」

「いい もう干すだけ」


パンパンと叩き、着物を竿に通す


「わっ 真っ赤じゃねぇか!!」


土方が、紅音の両手を包み
はぁーっと息をかける


「何してるんだ?」

「温めてる 寒いだろ?」

「……寒くない」

「いいから!俺が温めてやりたいんだ!」



感覚のない紅音は、土方の行為を
優しさなのだと理解しつつも
困惑するしかなかった



「ほら!赤みがひいた!
アカギレしたら、痛いんだぞ!」


「アカギレ?」


「ふっ アカギレ!
冷たい水で、手が荒れると切れるんだ
痛いの嫌いなんだろ?」


「そうか… ありがとう」


「紅音の手、暖かいな」


「そうなのか?」


「おう 水扱ってたと思えないほど
暖かくなった」


「土方が温めたからだろ」


「そ!俺が温めたんだ!」


「嬉しいのか?」


「そりゃな」


「……妻には、ならんぞ」


「クククッ そのうち妻になりたいと
言わせてやる!」


「言わない」










季節は、冬



雪がふっているからと
出て行くと言った紅音を引き留めた




春までは、新選組に残ることになった