花見に行った壬生寺から
紅音が消えて 



数日



「ダラダラしてんじゃねぇぞ!!
立て!!かかってこぉーい!」


「土方さん、そろそろ朝餉です
それに、皆さん隊務があります
稽古は、これくらいで…」




土方が、鬼に戻った





平隊士は、怯え

幹部らは、土方を宥めるのに必死




「紅音…どこ行ったんだろうな…」





土方の前で〝紅音〟は、禁句

幹部らは、巡察の度に紅音を探していた



「蒼!蒼じゃねぇか!!!」



永倉が発見した蒼は、ぐったりとしていた

少し目を開け

「……にゃ」

っと、鳴いて意識を飛ばす



蒼を抱え、永倉が走る


屯所の庭で


「みんな!!集まってくれ!!
山崎!!治療を頼む!!」


部屋から出てきた
幹部は、蒼の様子に驚き

テキパキと手拭いを用意し、水を汲み

飲み水や、食べ物を準備した




土方の部屋で蒼が治療を受け



丸2日




「んにゃ…」



蒼が意識を取り戻す




「蒼!紅音は、どうした!?」




土方の問いに、蒼は体を起こした

土方の着物を引っ張り



道場まで行くと
沖田の隊が稽古をしていた


平隊士のひとりに、蒼が威嚇する



「コイツが何か知ってるのか?」


「にゃあ!」


「紅音は、どこだ」


「知りません!猫が威嚇するからって
俺を疑うなんて!!
女に骨抜きになったというのは
本当なんですね!?」


「君、僕は土方さんと長いつき合いだから
どっちが本当の土方さんか
君より、知っているよ
それに…この猫は、とても利口なんだ
花見から、行方不明になったのは
君が連れ去ったからだよね?」


沖田が、平隊士に詰め寄る


「にゃあ!にゃあ!」


「紅音の居所を言えば、命はとらねえ」


「言いなさい」


土方と沖田に睨まれ

男が跪く


「妻が…人質にとられて
従うしかなかったんです…」


「お前の妻は、無事なのか?」


「はい 帰ってきました」


「紅音さんの居所は、わかるの?」


「……妻に聞けば、わかるかと」


「にゃあーん」


蒼が男にすり寄る



「こんなに弱って……ごめんな」



「皆さん!
我が新選組 副長の妻を助けに行きますよ」


「「「「「「「 はい!!! 」」」」」」