「………!?」


拝啓、お父さんお母さん。高校入学式の今日、林檎はただいま物凄くヤバイ状況におかれているみたいです。


「ナニ?そんなに俺のことが欲しい?」

「ウン、西条くんが欲しい……」


目の前の、誰もいない教室の中から聞こえてくるそんな声。中をチラリと覗くと、まさに今学校でするはずもないようなことをしようとしている男女が目にはいる。しかも、女のコの方から積極的に男の首に手を回しちゃったりなんかして。

……ただいま入学式中だからここらへんに人気はナシ。


さて。どうしてアタシはこんなところにいるんだろうか?


堂々と入学初日から遅刻した私は、なんとか校門を突破したものの、体育館までの道がわかんなくて歩き回っていた。

入学式はとっくに始まっている時間で、校舎に人気はなく、なりふり構わず人の声がする方へとやってきてしまったのだ。

その声が、こんなに色っぽい男女の密談だったとは。本当に同じ高校生とは思えないほどお盛んなことで。