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次の日。
ずーーーーーん。
来てしまった…約束の今日が。寝れなかった、いや正確には寝たけど寝た気がしない。
「はぁ…。」
何なんだ。高校入って初めての夏休みだというのに。昨日はたまたま学校に行って、たまたま嫌なことがあって、たまたま屋上に行って、たまたま不良たちに見られて…
「…あぁぁぁぁぁーーー!!」
枕に顔を埋めて私は叫んだ。
私が何をした!!
「__…考えたって無駄だな。さっさと行って早く片付けよう。うんそうしよう。それが1番だ。さーて!準備し…、よ、う………」
ん?そう言えば、何時にとか言ってなかったよね…?
『明日もここに来い。約束だぞ。』
「………」
現在8月2日、8時17分。
_ん?
ワタシハドウシタライインダ?


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「………」
現在9時20分。
学校の屋上。
「はよ。」
赤髪の人が言った。
「…」
「…昨日ぶり。」
青髪の人が言った。
「…」
金髪の人に睨まれた。
「…」
「…な。何でいるの!?」
あれから私は急いで支度をし、40分掛かる通学路を走って走って走って30分で着いた。この10分の短縮、誉めてほしい‼すごく頑張った!
「何でって約束しただろ?」
赤髪の人が言った。
「いやっそうだけど!何時とか言ってなかったよね!?」
「そうなんだよ!」
「ッ…!?」
「俺らそこ抜かっててなー、でもまぁ適当な時間に行けばいいんじゃない?って俺が言ったらよー。」
ポジティブだなー、この赤髪の人。
「雷ちゃんが『そんな失礼なこと女の子にしたらダメだよ!俺らが言ったんだから先に行っとかないと!!』って言って今日朝6時ピッタリに起こされて連れてこられた(笑)」
えぇぇぇ!?ていうか6時って!早ッ!!…あれ?朝6時からいたってことは、今何時だ?
「…っ!?ご、ごめんなさい!!」
「「「!?」」」
「3時間以上も待たさせてしまって本当にごめんなさいっ!!」
「別に構わねーよ?第一俺らが言ってないのが悪いんだし。お前が謝ることじゃねーって!」
「…」
「だから気にすんなっ!!」
「ありがとう…」
この人たち見た目は不良っぽいけど、本当はいい人なのかな?全然怒らないし。まぁ赤髪の人しか話してないから確信が持てないけど…さっきから青髪の人と金髪の人あんま喋らないし……あれ?
「あのー…」
「何だ?」
「雷ちゃんとは…?」
「ッ!!」
…あれ?さっき金髪の人がビクッてしたような。
「あぁ、そう言えば名前言ってなかったな!俺ら3人共幼なじみでな、まず俺が東城海-トウジョウ カイ-。んで俺の隣にいる奴は本好きの北条蓮-ホクジョウ レン-。そしてこの目つき悪いのが相川雷-アイカワ ライ-だ。」
目つきは皆さんヤバイと思うのは私だけでしょうか?
「桜木さゆみ!」
東城海が言った。
「はい!」
「俺たちは同い年だ!」
「そうなのっ!?」
「だから敬語とか使わなくていいぞ。」
「…」
あなた達が怖いから自然と敬語になっちゃうんです!
「おっそうだ!桜木さゆみ!」
「はいっ!」
「俺たちのことは名前で呼べよ?俺たちもお前のこと名前で呼ぶからさ‼」
「…呼べるかな……」
「「「…」」」
「あ、ごめんなさ_ぶっ……!?」
『ごめんなさい』と言おうとしたら急に顔を挟まれた。
「敬語禁止。」
犯人の北条蓮が言った。
「…いや、でも……」
「…(スッ)」
あれ?相川雷が急に立ち上がり私に向かってどんどん歩いてくる。
__…こ、こォォォろォォォさァァァれェェェるゥゥゥゥゥ!!!
「ご、ごめんな「…さっ!!」……え?」
「さっ!さささささささささ__さゆみっ!!!「_はいっ!!」………ちゃん……。」
…ちゃん?
「えっ、とー…?」
「………す…っ…」
「す?」
あれ?何かプルプル震えてる?
「…す、す、すみませんでした!!」
ビクッ!?
相川雷はさっきまで震えていた体を急に落とし、私の目の前で土下座をした。
「なっ何なんですか!?」
「…始まっちまったな。」
「…始まったな。」
「だから何が!?」
「昨日合ったばかりなのに急に呼び出したり、名前で呼んだりして、本っ当にすみませんでした…‼」
「へっ!?い、いやいやいや!!私別に気にしてませんよ?大丈夫ですから、顔を上げてください‼」
「_こんな人間が土下座してても意味が無いって事くらい分かってます。俺、こんななりだし、目付き悪いし、勉強も運動もそんなに良くないし__ぐす…(泣)」
あれ、泣いてる?…この人、こんな人だったの?思ってたの違う…。
「_身長だって、そんなに高くないし(泣)」
「ちょっ!!雷ちゃんっ!!それは俺の前で言うんじゃねー!!」
…全ッ然!!思ってたのと正反対の性格をしてらっしゃるぅぅぅ!!!
_ぽん。
「わっ!?」
いつの間にか北条蓮が隣にいて、私の肩に手を置いた。
「…雷の事は気にしなくていい。」
「は、はぁ…」
そう言いながら相川雷と東城海の方に視線を向ける。
「170センチいってないとか男として終わってる…。」
「雷ちゃん!もうそれ俺に対する当てつけでいいんだよねっ?!ねっ?!」
まだやってるよ…。
「…まぁ、そういうことだ。」
何が!?
「これからよろしくな。」
「っ!!」
さっきまで無表情だった北条蓮は一瞬、ほんの一瞬。私に笑顔を浮かべながら言った。
___あー、そっか。
一見恐ろしい不良に見えるけど、違うんだ。
何事にも前向きでポジティブな東城海。
反対にどんなときでもネガティブで泣き虫の相川雷。
そして、そんな2人を黙って見守っているのが北条蓮。というか保護者?
「_とっても仲良しな人たちなんだ(ボソッ。」
私は3人に聞こえない声でそっと呟いた__バッ!!
「「「!?」」」
そして右手を勢いよく上に上げた。
「さゆみ、どうした?」
東城海が私に問う。
その問いに私は次のように答えた。
「雷ッ!!」
「はいぃぃっ!?」
「蓮ッ!!」
「!?」
「海ッ!!」
「な、なんだ!?」
「__私はっ桜木さゆみ、1年!誕生日は7月25日の獅子座で、現在16歳!好きなことは…いっぱいあるけど、今ハマってるのはビビンバを食べること!こんな私だけどこちらこそよろしくねっ!!」
「「「………」」」
「…雷ちゃん。」
「な、ななな何だっ!?」
「「Go!!」」
「俺ぇぇぇっ?!え、えーっと、あっあああ相川、雷です。1年で誕生日は4月18日、牡羊座で今は16歳…には見えないだろうけど。好きなことは……猫と触れ合うこと、かな。こんな俺だけどよろしくお願いし「_次は俺だな‼」………。」
「俺は東城海だ!5月5日生まれの牡牛座で16歳の1年!!好きなことは運動!!スポーツ全般得意だし、大好きだなッ!!よろしく!!」
「…最後は俺だ。北条蓮、1年。誕生日は9月24日の天秤座。まだ15だ。好きなことは読書。…以上だ。」
「「「「…………フッ_よろしく!」」」」


あれから私たちは毎日屋上で会うようになった。