自分で言った手前
今更後には引けない
でも、恥ずかしさと緊張で
どうにかなりそうだ



「どうした?座ってろ」



部長はキッチンで
コーヒーメーカーをセットしている
それがなんとも見慣れない

それに、この部屋
部長のプライベートルーム
本当に入っていいのだろうかと
なかなか進めずにいたのだ


ようやくソファに腰を下ろした私は
何をしたらいいかわからず
ただ、窓から見えるタワーを見ていた




「悪いな、砂糖もミルクもないんだ。楓、ブラック大丈夫か?」


『だ、大丈夫っ。家ではブラックだから…』



そう言いながら
部長からカップを受け取る
二人掛けのソファに
二人で並んで座る