コブラとカブトムシを倒した後、

ガンスロンは、生駒の基地には戻らずに、そのまま北上し…一旦、日本海に出ると、海岸添いに北海道に向かった。


「生駒には、戻らないの?」

ガンスロン内に缶詰め状態にされている真由は、奥の畳の間で、寝転びながらきいた。

ガンスロンの頭部にも、部屋があり(そこは出入り自由)、まどかと潤一郎は、そこでくつろぎながら、

通信機でこたえた。 


「あの基地は、もう知られたからな…破棄した。それに強化システムは、あそこにはない。帝国陸軍、最後の砦は…今から、向かう北海道の端にあるのじゃよ」

奈良公園は、2匹の死骸の処理に追われ、ものすごい臭いが漂い、

破壊された路線の普及は、未定とされていた。 


そして、生駒の秘密基地もまた…何者かに破壊されていた。




ガンスロンは、北海道の最果ての地に、到着した。

ガンスロンの頭部で、潤一郎は立ち上がり、海の向こうに見える…島々に敬礼した。

「お祖父様…」

まどかも黙って、敬礼した。


戦争終結直後…降伏した日本に侵攻した当時のソ連は、北方領土を占領した。


武器を蜂起した軍人や、民間人は殺されるか…シベリアに強制連行された。


最後まで、本土との連絡網を守って、死んだ九人の電話交換手の中には、16、17才の女の子もいた。

彼女らは自決し、一度武器を棄てた軍人達は、北海道にまで、ソ連軍が攻めていく危険を感じ、再び武器を取り、日本を守ったのだ。


「ガンスロンは…もともと、対ソ連用に作られた。生き残った軍人達が、武器を集め…資材を集め、秘密裏に、つくられたのだ…」

潤一郎は、北方領土を睨み、

「あの日…あの時の…無念…忘れることなど、できようか」

潤一郎の目から、哀悼と悔しさの涙が、流れた。