弘樹の部屋は綺麗に整理されていた。


ほのかにミントの香りがする。


あたしが部屋に置かれているクッションに腰を下ろしたタイミングで、弘樹がクローゼットを開けた。


その中から取り出したのは四角い箱だった。


それは弘樹が言っていたのと同じように、片手でモテるサイズのものだ。


「これだよ」


そう言い、中央のテーブルに置いた。


それはどこからどうみても、ごく普通の箱だった。


側面に赤いボタンが付いている以外、なんの変哲もないものだ。


「これが複製機?」


ネットで調べたものとは随分と違う。


とても軽くて、印刷などに必要な用紙を入れるスペースだってない。


あたしは半信半疑で箱をジロジロと眺めまわした。


すると弘樹がCDラックから一枚CDを取り出した。