家に帰って来たあたしは真っ先に自室へ向かい、ぬいぐるみを確認した。


安く手に入る偽物なら縫い目などが乱雑になっているはずだった。


あたしはぬいぐるみを隅から隅まで確認していく。


タグに書かれている事がすべて同じかどうかまで、本物のぬいぐるみの画像を確認しながらちゃんとチェックして行った。


縫い目は綺麗で、タグも全く同じに見える。


素人目だからはっきりとはわからないけれど、本物のように見えた。


あたしは肩の力を抜いてぬいぐるみを元の場所へと戻した。


財布から弘樹にもらった1万円札を取り出す。


光に当ててみたり、手触りを何度も確認してみる。


やっぱり本物にしか見えない。


これなら普通に使えそうだ。


そう思った時、あたしはふと閃いた。


手早く制服を着替えて家を出る。


近くの銀行まで自転車で5分ほどだ。