スライム状の怪物にのしかかられたあたしは重みで声も出せずにいた。


誰か助けて!


そう思うのに、少しも声にならない。


化け物はさっきからあたしの事を罵倒している。


4つの顔があたしを睨み付け、唾を吐きかけながら怒っている。


ごめんなさい……!


もう複製なんてしないから、だから許して!


そう言いたいのに、喉からはヒューッと空気が漏れて出て来るだけだった。


複製された人間は2時間で溶けて消える。


この化け物も時間が経てば消えてくれるのかもしれない。


けれど、のしかかって来る重みに残り時間を耐えられるかどうかわからなかった。


化け物の体はドロドロと溶けているくせに、一向に小さくなっていく気配はない。


あたしの体は黒いスライムに覆われて行く。