弘樹がまだあたしの事を好きなら話しは簡単だった。


甘い蜜をちらつかせてやれば、弘樹の複製はあたしの言う事を聞いてくれるはずだった。


一旦家に戻ったあたしは着替えをして、複製機を持って外へ出た。


自転車で以前ナオの複製が入っていたホテルへと向かう。


そのホテルの旗には『お1人様大歓迎!』と、書かれている。


あたしは迷わずホテルの中へと入って行った。


ラブホテルに入るのは初めてのことだったが、意外と普通の部屋だった。


大きなベッドに2人かけのソファ。


テレビの電話。


それらが12畳ほどの部屋に押し込められている。


「へぇ、こんな感じなんだ」


あたしは部屋の中をぐるりと見回し、すぐに興味を失った。