ケータイ小説 野いちご

この作品のキーワード

桜の花が咲く頃に

第1章 -入隊-










「桃……っ!」


うしろでお母さんたちの声が聞こえたけど、私は振り返ることなく病院を飛び出した。



……なんで?


友達と "満開の桜を見に行こうね" って約束したばかりなのに。


十八歳の誕生日、二ヶ月後に控えてるのに。


親孝行だってろくにしてあげられなかった。



それに……


私まだ、恋だってしたことないんだよ?



今までの思い出が、走馬灯のように頭の中をを駆け巡る。


そして走りながら、涙が頬を伝っていくのを感じた。




……ねえ、なんで私なの?




一粒の涙が地面を濡らしたと同時に、私は意識を手放した。





< 2/ 306 >