朝7時。 しんと静まり返ったオフィスに続く廊下を少し早歩きで進む。 目的の扉の前までやって来ると、すぅっと大きく息を吸い込んでそれをゆっくりと吐き出していく。 それを三回繰り返したら、スッと背筋を伸ばして前を見据える。 そうして心を整えると、ほんのりと笑顔を作ってドアノブに手を掛け、一気に扉を開く。 「 おはようございます 」 これが私、水谷優花がこの一年間繰り返している朝のルーティンだ。