そうしてご飯を頂いてから、なんとお義母様のミシンや裁縫道具を譲ってもらった。

たぶん私の遠慮しがちな性格をこの短時間で分かってくれたお義母様が私が少しでも気持ち楽になるようにと思ってくれたみたいだ。

「お義母様、本当に貰って良いんですか?」

「えぇ、もう最近は手芸もしなくなってしまったのよ。老化には勝てなくてね・・・。老眼で手元作業は大変になったから辞めたのよ。だから使って貰えるなら嬉しいから持っていきなさい。」


そう言って渡してくれた。

「お義母様、ありがとうございます。大切に使います。」


そうして守さんの実家からまた車で移動して、役場に来た。



「さ、出しに行こうか。」

手を繋いで役場の休日窓口に行くと守衛さんがいる。

「婚姻届はこちらで大丈夫ですか?」

そう、守さんが聞くと


「えぇ、こちらでお預かりしますよ。処理は明日になりますので万一不備がありますと明日以降連絡が行きますので。」

「分かりました。」


「では、お預かりします。ご結婚おめでとうこざいます。」


そうして呆気なく婚姻届の提出が終わった。




役場を出て車に乗った所で

「なんかあっさり済んだな。」

「こんなもんなんですかね?」


見つめあってクスッと笑いあった。


「これから末永くよろしく、奥様?」

ニコッと言う守さんに

「これから末永くよろしくお願いします、旦那様?」

にこにこと返した。


「もちろん。」

そう言って頬に手を添え初めてのキスをした。


私、お付き合いも初めてなのに、キスより前に結婚しちゃいました。


でも、きっと幸せになれると思います。

優しくて頼りになって、かっこよくて可愛い旦那様が出来たので。


Fin