――頼みがあります。

クロスリードから話を持ちかけられた時、カザリナはまだ少女の存在を知らなかった。








「……まあ! どうなさったのですか、クロスリード様」

唐突にアクセス家の屋敷へ現れたクロスリードは、真っ青に青ざめ震えていた。

こんなクロスリードを見たのは初めてで、カザリナは思わず彼の身体を支える。

とりあえず中へと促してみたが、クロスリードはエントランスホールで崩れ落ちた。

「助けてほしいのです、カザリナ様……」

クロスリードには珍しく弱弱しい声だ。

カザリナは傍らに膝をつき「どんなことでもおっしゃって」と震える背を擦った。