特殊部隊、と紙の貼り付けられた会議室内には、重々しい空気が漂っていた。


卓上に置かれたパソコンから、とある小さな街の交番に入った一本の通報の音声が、流れる。


ーー……こちら、ゴーンシティ警察です。どうされました?ーー


「もしもし?! 私はゴーンシティの外れにあるタリック屋敷の者ですっ! 執事のアドルフと申します、 た、助けてくださいっ! ああ、殺される!!」


ーー……もしもし? 音割れが酷くて聞き取りづらいな……。アドルフさん、よく聞いて、 落ち着いてください。いま、なにが起きているのか、現状を伝えることはできますか? ーー



「屋敷の主人が、奥様を食い殺したんです! 私も殺される! 血が、血が、辺りに広がって……」



ーー…… 分かりました。今すぐタリック屋敷に警官を向かわせます。アドルフさん、警官が向かう間、どこかに隠れていることは出来ますか? ーー



「寝室の、ベッドの下にいます、ここにいるんで早く助けに……う、うわぁぁぁぁぁっ!! 」



ーー……アドルフさん?! もしもし? 聞こえますか?! ーー


……アドルフと言う名の人物からの電話は、そこで途切れてしまった。